河合貴子のレッズ魂ここにあり!「目標を高く持って」
J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。
さいたまダービーに敗戦。浦和が優勝しない限り、この悔しさは晴れる事はない
昨シーズン9月1日浦和から始まった大宮の不敗記録を、浦和のプライドをかけて止めるべき時が来た。今シーズンJリーグが開幕して、5勝1分けの2位の浦和と4勝2分けの3位の大宮。大宮が勝てば、順位が入れ替わる。浦和にとっては、絶対に負けられない。負けたくない、さいたまダービーであった。
更に、J2時代の2000年から始まったさいたまダービーは、リーグ20試合開催されて、浦和の8勝5分け7敗である。考えたくも無いが、浦和が大宮に負けると、大宮の不敗記録が更新されJリーグ史上初となり、大宮がリーグ2位、浦和が3位。そして過去の勝敗も5分と並ぶ事になってしまう。そんな事は、浦和のプライドが許さない。4月20日のさいたまダービーには、過去のダービー戦とは違う思いが交錯していた。今までにない最高の舞台が整っていた。
試合前日、前節の湘南戦で移籍初ゴールを決めた興梠慎三選手は「昨年、ダービーで負けて選手バスを囲まれた話は聞いている。サポーターのダービ―に懸ける思いは強い。大事な試合でゴールを決めたい。自分がどれだけキープ出来るかが大切。自分が前線でキープ出来れば、後ろからみんながドンドン上がって来てチャンスを作れる」とチームを勝利に導くプレーをイメージしていた。
初のさいたまダービーを一番楽しみしていたのは森脇良太選手であった。「幸せ!大宮が無敗できている。僕らも良いサッカーが出来ている。ピッチでバトルが繰り広げられる素晴らしいダービーになる。どんな事があっても浦和が笑って終われるように、ダービーのプレッシャーを感じながら闘う。ズラタンは万能型のFWだが、相手が嫌がるぐらい我武者羅に喰らいついて、粘り強く闘う。楽しみだなぁ」と森脇選手は目を輝かせていた。
柏木陽介選手は「ダービーの大事さも分かっている。そして、リーグの順位もある。俺達が引き分けた試合から、大宮の不敗記録が始まっている。けじめを付けたい。絶対に勝たなければいけない試合。勝ちに拘る!」と、この試合が意味するものを心に刻んでいた。試合前日の練習を取材して、勝利の雄叫びをあげるのは「浦和だ!」と信じていた。
しかし、現実は違っていた。オレンジ色の歓喜の歌声は、冷たい雨と共に浦和に降り注いで来た。試合開始から大宮は、DFラインを高く保ち積極的に仕掛けて来た。前半3分、片岡洋介選手が狙ったミドルシュートは、クロスバーに助けられ胸をなで下ろしたが、浦和は自分達のリズムがなかなか作れないでいた。そして、21分大宮のDFとGKの間を狙った柏木選手のスルーパスに抜け出した原口元気選手が、飛び出したGK北野貴之選手と交錯してしまい、一旦はピッチに戻るも倒れ込み交代を余儀なくされてしまった。
嫌なムードに浦和が陥ると、更なる不運が続いてしまう。前半終了間際にズラタン選手の後頭部が那須大亮選手を襲ったのだ。顔面を押さえ込んだ那須選手の鼻は骨折をしていた。止血のためにピッチの外に出たが、止血を審判が確認しないとピッチの中には戻れない。DFの要である那須選手がいない数的不利な状況の中、ズラタン選手のゴールが決まった。大宮は、虎の子の1点を全員で守り逃げ切ったのだ。
試合を決定づけたあの1ゴールが決まった瞬間、タッチライン沿いにいた那須選手の気持ちを思うと心が痛む。試合後、那須選手は「ズラタンと当たった時に、ペシャっといったんで折れたのは(鼻の左側)分かった。プレーが切れればピッチの中に入れたが、なかなか切れず・・・。早くプレーが切れてくれ!って祈る思いだった。時間もアディショナルタイムでもったいなかった。後半は右側も折れても良いと思ってやっていた。あと1歩の所の歯がゆさ・・・。悔しい。この悔しさを次に絶対、繋げないといけない。最後にうちが笑えば良い。次のダービーまで負けないつもりでいく」と痛む鼻を氷で冷やしながら思いを話してくれた。
次のさいたまダービーは10月である。リーグ戦残り7試合で大宮と対戦する。その頃には、浦和も大宮も優勝争いをしている順位であって欲しい。今回行なわれたさいたまダービーよりも、もっとエキサイトする状況で対戦したい。「優勝」が決まる一戦になれば良い。浦和が優勝しない限り、この悔しさは晴れる事はないだろう。悔しさを胸に刻み、目標を高く持って進んで行こう。
Q.捻挫って聞くと足首を連想するのですが、捻挫について教えて下さい。
A.捻挫とは関節を支えているスジ(靱帯)を損傷した状態をいいます。患者さんに靱帯を傷めていますと言うと『捻挫』ではないのですかとビックリする方がいます。靱帯損傷(捻挫)は重症度によって1度から3度まで分かれています。1度は一番軽く、靱帯が伸びた状態です。靱帯を痛めると関節がぐらつきますが、1度では関節のぐらつきが無い程度の損傷です。3度は靱帯が完全に切れてしまった状態をいいます。1度ぐらいの比較的軽い靱帯の損傷を総称して『捻挫』と言います。
捻挫した関節の部位や個人差にもよりますが、軽い捻挫であれば完治まで1から2週間かかります。サッカーでは、足首の捻挫が一番多いです。また膝のけがも多いですが、膝の場合はあまり捻挫という言い方はしないで、靱帯損傷と言います。
川久保誠 profile
1981年慶應義塾大学医学部整形外科教室入局。93年医学博士。94年英国リーズ大学医学部大学院へ留学、修士課程修了。96年より慶應義塾大学病院膝関節・スポーツ外来担当。東京歯科大学市川病院整形外科講師を経て2004年4月より川久保整形外科クリニック院長となる。浦和レッズレディースのチームドクターも務めた。
川久保整形外科クリニック
整形外科・スポーツ整形・リュウマチ科・リハビリテーション
http://www.kawakubo-clinic.jp/