「浦和の調ちゃん」は、浦和のゴール裏の繋がりで盛り上がった企画でした。 浦和の調ちゃんプロデューサー三澤友貴さん(harappa合同会社)インタビュー
4月9日からテレ玉で放送がスタートするアニメ「浦和の調ちゃん」。名前を聞いただけで、どんな展開が気になるアニメだったが、さらに「アニメで浦和を活性化する」というコンセプトがあると聞き、プロデューサーの三澤さんにお話を伺うと、実はレッズサポーターだったということが分かり、話が盛り上がった。そのインタビューをお届けする。
浦和フットボール通信(以下UF):『浦和の調ちゃん』は、その名前から浦和の調神社をイメージさせるタイトルになっており、主人公の高砂調ちゃんや大谷場南ちゃん、三室美園ちゃん、上木崎常盤ちゃんなど、キャラクターの名前を見ただけで、浦和の人は気になった人が多く制作発表から話題になっていますが、この「浦和の調ちゃん」を作るきっかけはなんだったのでしょうか。
三澤:まず私が浦和出身で、アニメ好きということもあったのですが、野球やサッカー作品など、浦和が舞台になっているマンガ原作からのアニメ化は多数ありましたが、純粋に浦和の地元アニメキャラクターと言えるものがなくて、ご当地モノのキャラクターを作りたいと考えていました。そのキャラクターを作るためには、何をベースにしたら良いかと考えた時に、色々と候補があった中で、全国でも東西南北の名前がつく駅があるのは浦和だけで、駅が8つもあるということを謳おうと考えて、浦和の8つの駅をキャラクターにした「浦和の調ちゃん」の企画が生まれました。いざキャラクターを作っても、それだけではダメなので、どう展開しようかという話になった時に、アニメーションにすれば、アニメイベントへの参加や声優さんとのイベントなど、作品の展開が広がるので、低予算でもアニメにしましょうという話になり、テレ玉さんで放映していただくことにもなりました。
UF:三澤さんはもともとアニメ業界の方だったのでしょうか。
三澤:実は、もともとアニメ業界ではなくて実写の映像畑で、映画やドラマ、CMの企画や制作プロデューサーをしておりました。アニメが大好きなので仕事にしたくなかったのですが、5年くらい前から「ご当地アニメ」の構想は持っていて、今回チャンスをいただけたので「やってみよう!」と。企画から自分でアニメを手掛けるのは、今回が初めてです。経験がないので、何が正解か分からないのですが、自分がこういう意図で作っているということだけを曲げないようにしようと思っています。
UF:「アニメで浦和を活性化する」ということで、昨年のさいたま市ニュービジネス大賞のコミュニティビジネス賞をされています。実は、サッカーで地域を活性化させるというプランで2006年に同じ賞を受賞させて頂いた「浦和フットボール通信」と同じなのですが、「浦和の調ちゃん」では、どのような展開を考えてられているのでしょうか。
三澤:最初からアニメでというか、「ご当地キャラクターで浦和を活性化」と考えていった結果として、その表現方法としてアニメにしよう、という流れになりました。ご当地モノは、地元の人だけではなく外の人が面白いと思ってもらえて、経済効果が生まれてくるものだと思うので、キャラクターを作ってこそご当地になるのではないかと思います。
そして我々はそのコンテンツの権利を自分たちで持っているので、キャラクターを実際に使いたい人がいればすぐに話が聞くことが出来ます。その機動力があるのが、他のアニメーションとの違いになるかと思います。埼玉県には、大ヒットしたマンガ・アニメのキャラクターが多数ありますが、費用の面などキャラクターを使用する際のハードルは高いと思います。それよりは使いやすい環境が作れるのではないかなと思います。私たちはキャラクターを地元で一緒に育ててもらうという形で、知名度を一緒に上げていきたいと思っています。使って頂く方はテレ玉で放映しているアニメのキャラクターということで、今までにないお客様などに向けてPRするコンテンツとして使いやすいということがあると思います。それが出来るのは地元だからこそという関係地を作って、ご当地を盛り上げようということになるかと思います。簡潔に言うとキャラクターを使ってもらって、そのお客様の層を浦和に呼びませんかということですね。
UF:埼玉では、鷲宮神社が舞台となって盛り上がっている「らき☆すた」春日部の「クレヨンしんちゃん」などの成功例がありますが、アニメで地域活性化ということは自治体も積極的なのでしょうか?
三澤:知名度のある作品に関してはそうだと思います。マンガやアニメがヒットした後から、あの作品の舞台は●●だよね、いうのが今でもスタンダードだと思います。我々のように、浦和と最初から言ってしまって、アニメ側から最初からやろうとしている動きはあまりないかなと。私としてはアニメの内容で評価いただけるように、ご当地ばかりを全面に押し出した内容にするつもりはないのですが、タイトルで「浦和」が入っていますからね(笑)。現在はやれる範囲で、地元の人と一緒にやりませんかという話をしている段階です。
UF:実際に考えうる展開というのは、どのようなものなのでしょうか。
三澤:地元の企業さんとのコラボで、例えば十万石饅頭とか、五家宝とか、ねぎみそ煎餅など名菓のパッケージに登場したり、「ガリガリ君」の赤城乳業さんが、埼玉限定の調ちゃんアイスとかを企画してくれると嬉しいですね(笑)。あとは地酒やお米のパッケージで登場できたら嬉しいですね。キャラクターが色々な所に出て行かないと認知度が高まらないですから、色々な舞台に登場できるようになれればと思います。すでに埼玉高速鉄道さんとはコラボを進めていて、4月4日から浦和美園駅で記念切符が発売をされることになりました。切符のデザインは2種類あって、調、常盤、南のスリーショットのイラストと、美園のワンショットのデザインの切符になっています。
UF:「浦和の調ちゃん」は、浦和にある8駅を模して、調、常盤、南、桜、緑、子鹿、彩湖、美園と、個性豊かな8人の女子高生が登場するストーリーとのことですが、どのようなアニメになっているのでしょうか。
三澤:5分番組なので各話短い物語なのですが、ストーリーは、さいたま市の浦和地区を舞台にした、なんてことない学校の中での日常の話で、鉄道部の5人を中心に個性豊かな8人の女子高生が巻き起こす、楽しくにぎやかな浦和の学園生活を描いています。特に強大な敵や事件は起きないです(笑)。
UF:浦和の街を知っている人は、背景画を見ることも楽しそうですね。
三澤:そうですね。アニメを見て、実際の場所を探して行って欲しいですね。ただ、一番見て欲しいのはキャラクターの可愛さと個性です。5分アニメの一期12話だけではキャラクターの良さを出し切れていないと思いますので、さらに展開したいですね。それは皆様の応援次第になります(笑)
UF:今後の展開はどのようになっているのでしょうか。
三澤:まずは全12話が4月、5月、6月までの放送で流れます。その後再放送の予定があります。浦和で『十二日まち』が開催される頃には、第2期をやりますと言えるようになれば嬉しいですね。
UF:その先の展開は、浦和だけではなくて、さいたま市全体が登場するという構想もあるそうですね。
三澤:ぜひやりたいですね。さいたま市の清水市長にも浦和以外のエリアはないの?と言われたのですが、第2期では、大宮のキャラクターの登場を考えていますね。PVにも出しましたが、浦和、大宮、与野というエリアを意識しています。
UF:さいたま市、そして埼玉県まで拡がっていったら面白いかもしれないですね。
三澤:この枠でいつもやっているよね、という話になったら嬉しいですね。テレ玉で、一年間ずっと放映されるくらいに続ければ、地元の人がいれたいネタも入れることが出来ると思います。さらに盛り上がってくると、アニメの舞台のツアーなどを組めたりもすると思います。
UF:声優さんの出身地にもこだわっているそうですね。
三澤:全て埼玉県出身の声優さんで、とこだわりました。
UF:そのあたりのこだわりは面白いですね。浦和の人は、名前に浦和がつくと熱くなりますよね。
三澤:僕自身が「浦和」と聞くと熱くなりますので、熱くアニメを応援してくれると嬉しいです(笑)僕が勝手に思っているのですが、ご当地アニメはJリーグと似ていて、地域、地域にクラブがあるのと同じで、自分の地域にアニメがあればそれを応援して、他地域と「うちのご当地アニメの方が盛り上がっているぞ!」的な波が各地から発生して、地域を活性化出来るのではないかと思っています。僕の夢としては、埼玉、栃木、群馬、山梨、千葉、神奈川、とU局がある地域でご当地アニメを作って、「関東ご当地アニメイベント」をやりたいです。各々の地域の方が自分の地元をアニメで盛り上げあって、Jリーグっぽくて面白いのではないかと思っています。有名なアニメ制作会社が集まる東京は、日本代表のような印象ですね。
ただ、それには各地域の地元の人が、自分の思い入れのある地域に魂を込めたキャラやアニメを作る事が前提だと思います。
UF:お聞きした所によると、三澤さんは、浦和レッズサポーターだということですが。
三澤:そうなんです。私は桜区出身なのですが、中学生の頃にJリーグが始まり、そのタイミングでレッズにオフィシャルサポータークラブが出来て、そこに入って応援を始めたんです。ただ、中学から大学までハンドボール部に入っていたので、学生時代は部活の試合が無い時にだけ駒場スタジアムに行ってました。2002年に大学を卒業して就職して、埼スタができてからはちょくちょく行けるようになりました。実は、この「浦和の調ちゃん」は、ゴール裏で一緒に応援をしているテレ玉の高橋さんと、2013年の11月の埼スタでの試合前の会話の中で「浦和のご当地ものをやりましょう」と話したことがきっかけなんです(笑)。だから、普通にスタジアムにいたりしますよ(笑)
UF:まさか「浦和の調ちゃん」を企画した方もレッズサポーターだとは知りませんでした(笑)なんとなく感じる所ですが、アニメが好きでサッカーも好きという方は結構いるような気がします。
三澤:実際に僕もそうですからね(笑)ただサポーターとしてはスタジアムにアニメのキャラクターは出てきて欲しくない。浦和レッズは硬派なイメージなので、必要がないと思っています。作っている身としては、おかしいんですけど(笑)。トップチームとは別の形で、レッズレディースの中で、盛り上がれるのであれば駒場に出てくるとか、今キャラクターは8人なので、3人加えて11人になればサッカーの人数ですし、後々、展開していきたいなという思いもあります。
UF:Jリーグだと水戸ホーリホックが、地元を舞台にした「ガールズ&パンツァー」とコラボレーションをしているケースもありますね。
三澤:「ガルパン」は面白かったですからね。水戸はユニフォームにキャラクターが入っていてすごいですよね。ただ、あの形は浦和では見たくはないです(笑)トップチームにはいらないけども、レッズレディースとかハートフルサッカーで、子供に喜ばれるような展開になれば良いなと思いますね。周辺とコラボをして個人的な夢としては、レッドボルテージの一角にグッズが並ぶようなことがあれば嬉しいです。その前に、まずアニメが面白くて、良いんじゃないと皆さんに言ってもらわないと話にならないですからね(笑)。アニメファンの方に盛り上げてもらいながら、地元でも盛り上がっていってもらえるように頑張りたいと思います。
UF:ぜひ浦和発のアニメとして盛り上がってもらいたいと思います。
三澤:ありがとうございます。4月9日(木)25時35分から、テレ玉にて放送が開始されますので、是非とも応援を宜しくお願いいたします!
UF:“サッカーで街を盛り上げる”をコンセプトにしている「浦和フットボール通信」も何かご協力できることがあれば、と思います。ありがとうございました!
『浦和の調(うさぎ)ちゃん』
2015年4月9日(木)25:35からテレ玉にて放送スタート!
公式HP:http://urawa-usagi.com/
公式Twitter:https://twitter.com/urawa_usagi
[キャスト]
高砂調: 瀬戸麻沙美
上木崎常盤: 明坂聡美
別所子鹿: 久保田未夢
沼影彩湖: 大久保瑠美
田島桜: 大地葉
道祖土緑: 東城日沙子
大谷場南: 渡部恵子
三室美園: 田村奈央
『浦和の調(うさぎ)ちゃん』