浦和フットボール通信

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河合貴子のレッズ魂ここにあり!「スーパーサイヤ人~平川忠亮選手」(3/6)

J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。

タカねえが今シーズン注目する選手の一人。平川忠亮選手の登場。

プロになってから浦和一筋でプレーを続けて、今年11シーズンめを迎える平川忠亮選手。2002年にプロデビューして以来、これまでJリーグ239試合出場とコンスタントに試合に出場している。平川選手のプレーには攻守に渡り安定感がある。

ミーシャ監督になり、基本システムが3-4-3となった浦和で、平川選手は右のサイドハーフにポジションを任されている。このシステムでは、マイボールになった時に右のストッパーが外に開くので、サイドの高い位置に張る形でポジショニングする。守備の時は、3DFの外側のスペースをケアーする為に5DFにならないように意識しながらそのスペースを埋める。平川選手は「ボールを奪った瞬間に、前へ飛び出して行くが、まだまだ動きが遅れたり、動きの質、判断が遅い。走る距離が多くなったが、90分通して、攻撃も守備もそこの頑張りなんですよ」と話してくれた。しかし、システムが変わっても平川選手の安定感は変わらない。その安定感は、正確なトラップから生まれている。

同サイドで紅白戦の時に対面した事のある野田紘史選手は「平さんと僕の違いは、基礎技術ですよ」と悔しそうに口にした。「ワイドに入ったロングボールをトップスピードの中で、自分が次にどのプレーをするか、考えてトラップして、相手にボールを取られない位置に置く。ポジショニングも良いし、1対1も強い。駆け引きも上手く、頭も良い。その上、スピードもある。あの年齢で、あのプレーが出来るのは、凄すぎです!」と苦笑いしながら野田選手は平川選手のプレーに感嘆した。実際に、平川選手の息遣いが分かる程の距離でプレーを観察すると、その凄さが良く分かる。サイドチェンジのロングボールを胸で平川選手がトラップした瞬間「ドス」と何とも表現し難い音がする。そして、ダイレクトで次のプレーが出来る位置に、胸トラップでボールをコントロールしている。鉄板のように胸板が厚い平川選手だが、胸板でボールを弾くのではなく、ボールを受け止める瞬間に、ボールの勢いを吸収するかのように重心を低くして、そしてボールを置きたい方向に腰をスーっと捻る。その動作は、コンマ何秒の世界である。トラップが正確であれば、相手にボールを奪われるリスクも減るだけでなく、ボールの流れにリズムが生まれる。

また、右サイドハーフでタッチラインを背にする事で、さらなる視野の広がりを得たかのように、平川選手のプレーは鋭さを増しているように感じた。右のストッパーの濱田水輝選手がドリブルでサイドを駆け上がった時も、そのスペースを空け、自分がボールを受けられるように、中に入って行くのか?ペナルティーエリアの外側を使うのか?または、濱田選手のフォローをしに行くのか?相手DFの動きと味方の動きを見ながら判断して行く。

平川選手は「このフォーメーションになって、自分のプレーの幅が広がる」と楽しそうに話してくれた。以前、「野人」と言われた岡野雅行選手が、プレーの幅を広げた時に「スーパーサイヤ人」といわれた事があった。今シーズン、更なる進化を遂げた平川選手は、岡野選手とはタイプの異なる「スーパーサイヤ人」となって、黄金のオーラを解き放つだろう。

※スーパーサイヤ人とは、漫画「ドラゴンボール」に登場するもので、サイヤ人というキャラクターが、戦闘力上昇のために変身した姿です。

Photo by (C) Kazuyoshi Shimizu 

 

 

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