河合貴子のレッズ魂ここにあり!「大切な家族~デスポトビッチ選手」(10/19)
J開幕から浦和レッズを追いかけ、ケーブルテレビのパーソナティなどで活躍をしている”タカねえ”こと河合貴子さんによる浦和レッズコラム。毎週、タカねえの独自視点の浦和レッズを語ります。
プロフェッショナルな姿勢の裏にあるチーム愛と小さなサポーターの存在。
札幌戦の日、通称「トルシエ階段」と呼ばれるロッカールームからピッチに繋がる階段の所で、ピッチに向かう選手達に檄を飛ばして送り出し、肩を落としてロッカールームに下がる選手達を優しく迎え入れる私服姿のランコ選手がいた。プロの選手なら、当然のように自分がピッチに立って闘いたかったに違いない。その気持を押し殺してでも、ランコ選手はメンタル面でピッチに立って闘った選手達をサポートしていた。その姿を見かけた時に、ランコ選手から浦和に対する愛を感じずにはいられなかった。
後日、ランコ選手に話を聞きに行くと、「札幌戦も自分は何も出来ずに悔しかった。チームが勝つために自分が出来る事があれば何でもする」と話してくれた。そして、「勝っている時に『おめでとう』と言葉をかけるのは簡単だが、難しいのは負けた時だ。試合が終わった時の気持ちが違う。人生では、悪い時も、良い時も常にある。一緒にいる選手は家族の一部なんだよ。その家族をサポートするのは当然の事だよ!自分にとってチームはとても大切なもの。彼らの傍に居たい。僕が出来る事は、仲間に声をかけて力を与える事だった。負けた時こそ笑顔だよ!笑顔は次に繋がる」と笑った。その気持ちがあの日、ランコ選手の行動となって現れていたのだ。チームメイトは『家族』と言う意識があれば、当たり前の事であった。どんな人にとっても、家族とはお互いを支え合い、守りたい存在であり、無償の愛で繋がっている。「浦和に来て、まだ1年だけど・・・。浦和に初めて来て5日後にこのチームの良さを感じ、日増しに浦和の愛が深まっていた。第一にクオリティーの高い選手達と監督がいて、スタッフを含めて良い意味でのプロが揃っているのが魅力。毎日、ピッチの中にいて感じる事は、サポーターの存在が大きな力に繋がっている」と教えてくれた。
試合に出場するチャンスが中々巡って来ないランコ選手だが、トレーニングでも決して手を抜く事はない。当然のように、いつもハードワークをし続けている。そこには、ランコ選手を無償の愛で支え、大きな力を与えてくれる、とっても可愛らしい4歳のももかちゃんの存在があった。練習が終わると、必ずランコ選手はももかちゃんのもとへ行き、抱っこして、2人でお話をしている。言葉は通じなくても、気持ちが通じているのか?会話がなりたっていた。ランコ選手は「モモカは小さいけど、大きなサポーターなんだよ。僕に喜びをくれるし、僕の練習のモチベーションを上げてくれる可愛い女の子。僕は、モモカにピッチの中でしか、感謝の気持ちを示すことしか出来ない。限界に挑戦できる気がする」目を細めて優しい眼差しでももかちゃんを見つめていた。
ランコ選手は「ハードトレーニングをする事によって、それは必ず自分に返って来る。シンプルだけど、苦労は欠かせないものだ。ハードワークは、結果を生む。ノーハードワークも結果を生む。それは、悪い結果をもたらす。だから、自分が出来る事をやり続ける。やり続ける事に意味がある」と自分自身の信念を話してくれた。その信念は、自分の為だけでは無い。チームメイトともサポーターとも、全てフットボールを通して、無償の愛で繋がっていると感じた。
ランコ選手が「喜びを与えるのが、僕の仕事」と断言をした。断言出来るのは、喜びを分かち合える『大切な家族』と呼べる存在があるからだ。ランコ選手は『大切な家族』のために、どんな時でも、笑顔を絶やすことなく、自分が出来る事をやり続けている。